府内BCG個別接種化の動向と大阪小児科医会の取り組み
大阪府の結核罹患率は全国一、しかも政令指定都市別の罹患率では大阪市が第1位、堺市が第2位です(平成30年度). それに比し小児の結核は非常に少なく、その予防にBCG接種が果たしている役割は大きなものがあります. 昨年4月の緊急事態宣言発出のさい府内でBCG集団接種が一時中止となった地域があり、当会では同年4月13日付けで接種対象者の多い大阪市、堺市、東大阪市に対して接種の早期再開、将来の個別接種を含めた適切な対応について要望書を提出しました. BCG個別接種は大阪府では未だ6割の市町村にとどまっています. 昨年はコロナ禍のもと、門真市、羽曳野市で個別接種となりましたが、今後残りの地域でもBCGを適切な時期に接種する方策として、個別接種に移行することが望ましいと思われます. さらに個別接種は、ワクチン液の調整も含んだ正確な技術を持ち、接種後のコッホ現象、その他副反応に対する適切な対応ができる小児科医が担うべきです. そのためには小児科医におけるBCG接種技術の担保、コッホ現象対応の共通化を図らねばなりません. 乳幼児の結核罹患率のさらなる減少を目指し、小児科医が地域のかかりつけ医として丁寧な接種を行えるために、現在医会では会員に対して小児結核の現状と予防、BCGワクチンの適正な接種に関する研修の機会を提供するべく検討中です.
(プライマリ・ケア部会)
この記事は大阪小児科医会ISOP 302号(2021/2/19発行)に掲載されています。
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