小児の原因不明の重症肝炎について(2022年5月13日時点)
本年4月以降、世界各国において小児の原因不明の急性肝炎が継続して報告されています. 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、2022年5月11日時点で27か国、約450例の小児の原因不明の急性肝炎の発生の報告がありました.
厚生労働省から、暫定症例定義に該当する症例について届出を依頼したところ、日本国内では2022年5月12日までに12例の報告がありました.
英国での症例の年齢の中央値は3歳、54%が女性です. ほとんどの症例では、黄疸の発現の前に、嘔吐、下痢、吐き気などの消化器系の症状がみられました. 肝移植を必要とした患者の報告や死亡例もあります. 英国で患者から最も多く検出された病原体はアデノウイルス、次いでSARS-CoV-2でしたが、原因とは特定されていません.
国立感染症研究所によると、わが国においてはウイルス性肝炎の小児の症例数が著しく増えている兆候は見られておらず、小児の重症肝炎や移植例が増えているという情報は把握されていないようです.
嘔吐、下痢の症状の後で、食欲不振や倦怠感、白色便などの症状が続いたり、黄疸や褐色尿が新たに出現した場合には、肝炎の可能性を考えて、医療機関への受診が必要かと思われます.
(プライマリ・ケア部会感染症対策委員会)
この記事は大阪小児科医会ISOP 317号(2022/5/20発行)に掲載されています。
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投稿日:2022/05/20