百日咳の報告数が増えてきています

 

 大阪府感染症情報センターによりますと、百日咳はCOVID-19の影響で2020年後半から2023年にかけて激減していましたが、2024年8月以降増加傾向で、2025年第6週(2月3日〜9日)は26名となっています. 今年1月からの累積報告数は98名を数え、2018年以降で最も報告数が多かった2019年と同様のスピードで増加しています. 第6週に報告された百日咳症例の平均年齢は13歳で、4歳以下15%、5~9歳12%、10~14歳54%、15歳以上19%でした. ワクチン接種歴は4回が13名(50%)、3回が1名、1回が1名、0回が3名、不明が8名でした. ワクチン未接種者は3名とも生後3ヵ月以下でした.
 百日咳は長引く特有の咳嗽が特徴である全数把握感染症です. 治療の第一選択薬はマクロライド系抗菌薬ですが、近年中国でマクロライド耐性百日咳菌が検出され、アジア諸国への拡散が危惧されており、最近はヨーロッパや日本でも検出されています. また、予防としては百日咳含有ワクチンが定期接種として4回接種されております.
 百日咳は、新生児や乳児早期の特にワクチン未接種者で重症化しやすいといわれており、この集団をどのように守るかが課題です. 2013年度感染症流行予測調査で、5歳時に百日咳抗体保有率が20%台と低下していたことから、日本小児科学会では就学前のDPT(ジフテリア百日咳破傷風3種混合ワクチン)の追加接種を勧めており、また11歳~12歳でDT(ジフテリア破傷風2種混合ワクチン)の代わりにDPTを接種してもよいとしていますが、報告数の多い10~14歳の百日咳を予防するために、どの時期にワクチンの追加接種を行なうかというのはなかなか悩ましいところです.
 また、これから赤ちゃんが生まれる予定の御家族は、百日咳がどのような病気であるかを事前に知っておくことも大切かと思われます.

大阪府感染症情報センター「百日咳」
  https://www.iph.pref.osaka.jp/zensu/20210128104900.html
VPDを知って子どもを守ろう「百日せき」
  https://www.know-vpd.jp/vpdlist/hyakunichi.htm

(プライマリ・ケア部会感染症対策委員会)

この記事は大阪小児科医会ISOP 350号(2025/2/21発行)に掲載されています。
ISOP(Information Services for Osaka Pediatricians)は大阪小児科医会が会員向けに毎月発行しているニュース速報です。
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 未分類   投稿日:2025/02/21