いつ冷やすどこ冷やす
発熱は本来正常な生体防御反応、つまり病気と闘う反応ですので、必ず下げなければならない訳ではありません。でも、本当に熱が高くてつらそうなときには坐薬を使ったり、冷やしたりすると思います。今日は冷やすと言うことを考えてみましょう。
熱が上がっていくときには寒気がありますから、冷やすのは逆効果です。熱が上がりきってフウフウ言い出した頃が、冷やすのに適したタイミングです。では、どこを冷やせばいいのでしょうか。おでこを冷やすと気持ちはいいですが、体温はほとんど下がりません。小児科へ受診したときによく「冷やすなら、首筋、わきの下、太ももの付け根」と指導される場合が多いと思います。でも「首筋、わきの下、太ももの付け根」って正確にはどこでしょう。キーワードは動脈です。
順に考えてみましょう。
まず、首筋です。お母さんによっては、首の後ろの髪の生え際あたりを冷やしている方もありますが、本当に冷やして欲しいのはのどの左右にあたります。そっと触れると、頸動脈の脈が触れると思います。そこが冷やすポイントです。動脈の走る部分を冷やすと血液が冷え、冷えた血液が全身を回るため体温を下げることが出来るのです。
次は、わきの下です。冷やすポイントはやはり脈の触れる場所です。ちょうど体温計を挟むところと言えば良いでしょうか。よくある間違いは、わきの下ということから胸の横側の肋骨の部分を冷やしているケースです。もしわきの下が冷やしにくいのなら、わきの下の動脈は腕の方に流れていくことから、上腕の内側の柔らかい部分を冷やすという手もあります。
最後に太ももの付け根です。太ももの前面、腰骨と股を結ぶ線の内側3分の1にあたる位置が、冷やすポイントとなります。ここも足へ向かう太い動脈の通る場所であり、脈が触れます。
今述べたポイントは氷など実際に冷たいもので冷やすのが原則です。子育て通信別稿の「貼付型冷却剤をどう使うか」も参考にして上手に冷やしてあげて下さい。
(川崎康寛)