子どもが病気の時
子どもが病気のとき、お母さんが一番困ります。 あわてて、お祖母ちゃんに電話をして、看病にきてもらったり、夫婦どちらかが年休をとる家庭もあります。保育園は、病気の子どもを預る施設ではありませんから、家政婦さんやベビーシッター(保育ママさん)を頼むと、いつも違う人がくるので、朝、仕事にでかける前に「泣かれてしまいます」と訴えるお母さんがあります。
園から電話がかかってくると、ヒャッとします。お子さんが発熱していますから「お迎えにきてください」と言われるからです。でも、即刻行けないときには、保育園のベッドで、看護師さんがケアしてくれるので「助かります」とお母さんは、真剣です。
このことは、男女共同平等時代であるいま、解決すべき最重要課題の一つですから、設備と人材が豊富な「病児保育室」が、だんだん整備されてくるでしょう。
でも、子どもが熱を出したり、おなかをこわして弱っているときは、母親や養育者を求めます。保護してもらいたいのです。赤ちゃん返りをして甘える子もあります。
そのとき、お母さんや保育士さんにしてもらった親切やおいしかった食事の味を、周囲の風景といっしょに、おとなになっても記憶しているという人が、おおぜいいます。
また、両親と離されて、ひとり寝かされたり、好きな人やペットとの離別や火災や地震に遭って恐ろしかったことや、寂しかった思い出は、子どもの心の奥に彫り込まれているようです。
そこで、女性が子どもを産み育てることをえらんでいる時期には誰もが安心して子育てに専念できるような社会をうち立てたいものです。
子どもの体力や気力が弱り、ぐあいの悪いときに、子どもを励まして、病気を癒(いや)す力を与えられる一番大切な人は、両親であるということは、どんな時代になっても変わらないでしょう。
(菅原重道)