叱り方
最近ガーデニングがブームになっています。私もテレビの園芸教室等をみて花木を育てていますが、立派にするのはなかなか大変です。花はどうにか出来ても、植木のほうは剪定をしなければ、よい木に育ちません。形の悪い枝を切ったり、伸び過ぎた枝を切って形を整えます。
植木を立派に育てる人に共通しているのは花や木が大好きなことです。子どもを叱るのは、木の枝をととのえるのと同じです。悪い事をすれば叱るのは当然のことで、叱ることも出来ないようでは、よい子どもに育てることは出来ません。愛情をもって叱れば、子どもはすなおに受け止めるものです。憎しみをもって叱るのは、叱るではなく怒るです。いつも怒ってばかりいると、親子の間の感情が次第に離れてゆき、更に進めば家庭内暴力の温床となります。自分の子どもに対する愛情さえあれば、少々叱っても子どもは何とも思わないし、世の常識を次第に身につけてゆくものです。しかしこれが自分の子どもでなく、他人の子どもに対しても行えるものでしょうか。先日子どもが道でボール遊びをして、私の庭にボールを入れました。だまって庭に入ってボールを取ろうとするので「だまって人の庭に入っては駄目」と注意しました。しばらくすると、又ボールが庭に入りました。今度はインターホンをおして、「ボールをとらせて下さい」と言う。その時は「こちらも忙しいから余りボールを入れないように」と叱りました。ところが又々ボールが入ってきたので、今度は「いいかげんにしないか」と怒ってしまいました。良寛さんのようなわけにはいきません。こうしてみると、実際にはいたずら盛りの子どもを叱ることはなかなかむつかしいものです。
広く世界を見ても、叱り方として、未だに鞭で子どもをたたくところもあるし、子どものおしりを強くたたくところもあります。叱り方も世界共通というものはありませんが、少なくとも叱るのは口で行うべきで、手を出すのは虐待につながる恐れがあるので、やめた方がよいでしょう。
(西村輝久)