虐待

 

cc064 子ども虐待の痛ましい事件がとどまることを知らず、心を痛めている方が多いことでしょう。厚生労働省は平成22年7月に、第8次児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会報告を出し、平成22年度1年間の45例の虐待死、51例の心中による虐待死を分析しています。そこから、長く虐待予防の研究を行ってきたものとして、2つのことが重要だと思います。

 ひとつは、泣き声に対する正しい知識の啓発と支援です。我が子が生まれて初めて赤ちゃんの泣き声を聞いたという人が少なくありません。ミルクをやってもおむつを換えても泣き止まない子どもがいるのですが、腹を立てて揺さぶってしまい脳に出血(揺さぶられっ子症候群)させてしまうことがあります。また、児童相談所や市町村に、「すごく泣いているのだけれど虐待しているのでは」という通告が多いと言うことを聞きます。一足飛びに通告に行くのではなく、ドアを叩いて「大変ですね、何かお手伝いできることがありませんか」と声をまずかけていただきたいのです。実際に、平成22年に栃木県で泣き声で通告されるのがいやだったからと、2歳の子どもを押し入れに入れて死亡させた事件がおこっています。ご近所力で声をかけておせっかいをして、子育てをサポートする必要があります。

 もうひとつは、望まない妊娠や思いがけない妊娠では、誰にも気づかれずに産んだその日に死亡させていることが多いということです。生理が来ないと思っても誰にも相談できず、どうしたらよいかわからない人がいます。しかし、順調に胎児は大きくなり陣痛がきてトイレで産んでしまったといった新聞記事が目につきます。容姿の変化に気づくべき家族が機能していないこともあるようです。あってはならないことだととらえずに、どんなことでも相談していいというメッセージを、特に若い子どもたちに送りたいと思います。

(佐藤拓代)

 

 家族とのかかわり   投稿日:2013/05/01