偏食(栄養士の立場から)
お子さんは好き嫌いなくなんでも食べてくれますか?
お母さんがたの最大の悩み・関心事は子どもたちに栄養のあるものをバランスよく食べさせることだと思います。今日は何にしようか、と一生懸命考えて作ったのに「嫌い!」と食べてくれないという経験は誰でもするものですね。
食卓は食事だけでなくコミュニケーションの場でもあります。家族が楽しい雰囲気で美味しそうに食べていると自然と食事に対する興味も湧いてくるでしょう。偏った食事しか出てこない食卓よりも、バランスよく出てくる食卓のほうが彩り豊かな食生活になります。目安として色を意識してみましょう。例えばホウレン草やピーマンの緑色、トマトの赤色、ニンジンやカボチャの橙色、トウモロコシの黄色、シイタケなどのきのこ類の茶色、いろんな色の食材が使われた料理は見ためも鮮やかでおいしそうですね。山の食べ物・海の食べ物に分けて考えても楽しくなることでしょう。
味付けも大切です。小さい間は「味らい」(口の中の食べ物の味を感じる小さな器官)が多いので塩や醤油、砂糖などのはっきりした味付けや油っこいものよりも、素材を活かした味を教えてあげましょう。かつおや昆布、にぼし、干しシイタケなどの「おだし」は日本の食文化です。「おだし」の味も伝えたいものです。美味しいものを美味しいと感じられるような人になってほしいです。
「好き嫌い」も何か自己表現のひとつかもしれません。嫌いな食べ物も食べられるように工夫して、食べることができたら褒めてあげましょう。また、一緒に作ると嬉しくて食べることも多いです。無理強いはしないようにしましょう。
ただ、ある特定の食品が入っている食事の度にどうしても食べない、すぐに吐き出すなどの強い拒絶反応が見られた場合は食物アレルギーの可能性もあります。専門の医療機関に相談してください。
「偏食」を直そうと考えずに明るく楽しい食生活を送ることが、「偏食」を克服する近道となるでしょう。あれもこれもと欲張らず、出来ることからひとつずつチャレンジしてみてください。
子どもさんと一緒に美味しい食生活を楽しんでください。
(特別寄稿 渡邊香織)