ペット
今やたいへんなペットブームです。しかし子育てとペットを飼うことを両立させるためには、それなりの心構えと気遣いが必要です。ペットといっても種類が多いですが、ここでは最も一般的な犬や猫などの小動物を念頭において考えてみましょう。
いろんな考えもありますが、私は3歳以下ぐらいの子どもが家にいる場合は、ペットを飼うことをあまりお勧めしません。思わぬ事故に見舞われたりすることがあるからです。犬にみられる権勢症候群のように、家族の中で、犬が自分の方が位が上であることを示すため、子どもに噛みついたりすることもあります。また、この時期は子どもに大変手がかかるので、ペットにも子どもにも不十分な対応になってしまう可能性もあります。またペットにはそれぞれ固有の感染症や寄生虫や微生物(ノミ・ダニなど)がつくことがあり、抵抗力の弱い乳幼児にとっては、特に清潔な環境のもとでのペットの管理が必要でしょう。体毛などによるアレルギーで、アトピーや喘息をきたす場合もあります。
しかし、正しい知識を持ち、ペット・子ども・おとな達すべてを含めて、ルールをきちんと守れば、ペットとの生活は自我の発達期にある子どもには大変良い影響があると思います。まず、ペットと共に生活をすることにより、自分より弱いものを慈しむ心が育ちます。ペットの世話の一部を年齢をあわせて義務づけることにより、責任感が培われ、また義務を果たしたあとの達成感の喜びや、観察力、注意力を向上させることができます。糞の処理などを適切にすることにより、公徳心(今や死語になりつつありますが)の醸成に役立ちます。ペットは往々にして早く死を迎えます。可愛がっていたペットの死を通じて、幼い時に死を実感し、死の意味を考えることにより、生きる意味と、人の力ではどうしようもないことがあることを知るのは、大変有意義なことです。
(根岸宏邦)