友達と遊ぶ

 

cc080 K市を訪れた時、手に手に刀や拳銃を携えたチビッコ軍団が、わきを通り過ぎ、お寺の境内へ消えて行きました。年長の子が先導して、男の子も女の子もいました。あっ、長い間、こんな風景を見なかったなァー。 以前、子どもは、戸外で、自然の中で、からだを動かして、群(むれ)をつくって仲間と遊びました。ところが、いま子どもを持っている両親が子どもの時代から、核家族化・都市化が進行して、原っぱや空地がなくなり、とんぼや蝶を追いかけたり、地面に三角や絵を画いて、缶蹴りやお店屋さんごっこやビー玉で遊ぶ子どもの姿が見られなくなりました。

 いまどきの子どもの「遊び」は、室内で、機械を使って、独りで、なのです。

 パソコンやテレビゲームで時間を過ごしていても、からだの大きな筋肉や平衡感覚を使わず、目と指先ばかり動かしますから、それでは、学校や塾の勉強と何も変りません。そこで、子どもに遊びの面白さを知ってもらいたいとの思いから、各地で「親子ででかける広場あそびガイド」を作っています。人気があるのは、ハゼ釣りを楽しむ川遊び、磯の遊びができる海岸、自転車の練習ができる広場、動物を抱いて遊べる高原だそうです。でも、身近に、放課後や休日に友達といっしょにスポーツをしたり、順番に、鬼になったり親になったりして、ごっこ遊びができる「子どもの広場」が必要です。子どもは、歳の違った友達やきょうだいとの交わりの中で、工夫やルールや我慢を学びながら、たくましく育つのでしょう。面白くて、我を忘れて熱中してしまうような友達との時間。そして、何よりも、暮色に染まる頃、夕餉(ゆうげ)のために家路につくとき、なんだか寂しい気持ちになって走り出してしまうような子どもの心を作ってあげたいのです。

(菅原重道)

 

 あそび   投稿日:2006/09/01