おもちゃ
子どもは遊ぶのが大好きです。上手に楽しく遊んで育った子どもは創造力の逞しい心豊かな人になります。その遊びを手助けする道具がおもちゃで、発育に応じたよいおもちゃを持たすことは、たかがおもちゃと思われるかもしれませんが大切な事です。生まれて3か月も過ぎると赤ちゃんは周囲をきょろきょろ見廻して関心を示してきます。やがて手に触れるものを握ったり、振り回して遊ぶようになります。少し大きくなると積み重ねたり、並べたり、また抱きかかえたりして大人の仕草の真似をし、おもちゃに話しかけたりします。特別教えもしないのにいろんなことに興味を持ち、これ何だか面白そう、こんなものが出来たと眼を輝かせて、時には素晴しいお話を作って無心に遊びます。その中から子どもは自然に色々なことを学び習得していきます。傍らでみていると大人がびっくりするような世界を拡げています。石コロでも木片でも子どもはおもちゃにします。
街には子供が欲しがる完成された見た目が美しい立派な高価なものが沢山でています。それらは手に入れた一時の満足感を得るだけか、決められたルールに従わないと遊べず、子どもが自由に工夫したり、手を加えたりする余地のないのがほとんどで乱暴に扱えば叱られます。あれ! どうして? どうなっているの? 作ったりこわしたり、独りでするより友達と一緒にした方が面白いと知ったりしながら智恵が発達していきます。子どもがおもちゃに遊ばれてしまっては創造力は育ちません。子どもは何にでも興味を持ち、何でも欲しがります。豊かな現在、子どもが欲しがるものを与えるのが愛情と勘違いして安易に買い与えることはやめたいです。安くて未完成品でいいのです。丈夫で、安全で手ざわりがよく、やさしい色をしたもの、子どもが何だか面白そうと自由に持って遊べるおもちゃを発育に応じて与えて下さい。そして時には子どもと一緒に色々なものを作ったり、それにお話を加えたりして遊んでみましょう。その時使う道具こそ子どものおもちゃなのです。
(建石保子)