子どもに絵本を
読むのが大好きな、やさしい保育士さんからのメッセージ
お母さん、映画の世界に引き込まれ、自分が主人公になった気分で映画館を後にした…。そんな経験はありませんか? 同じように、お子さんたちも、絵本の物語の中で主人公と自分を同一化させて、泣いたり、笑ったり、また、自分の知らない世界でいろんな出来事に出会い、「なぜ?」、「どうしたらいいの?」と好奇心や冒険心を膨らませています。子どもに絵本を読んでいる時、「お・し・ま・い」といったと同時に、子どもは「ハッ」とした表情をします。子どもたちが物語の世界から現実へと引き戻された瞬間です。私は絵本を読む時、子どもを膝に乗せて、後ろから抱きしめるようにして読んであげます。子どもだったころ、絵本を読んでもらった時の母親のぬくもりがうれしかったからです。大勢の園児がいても、一人ずつ順番に私の膝の上に乗せて、からだを触れあわせて絵本を読んでいます。膝の上の特等席では読む声が耳からだけでなく、触れ合うからだを通して背中からも伝わるので、まわりで聞いている時より、さらに絵本に吸い込まれ熱中します。
そして絵本の中で、自由に思いを巡らせ、豊かな感情を育てていきます。また、子どもたちは絵本の中で得た感動を大好きな人と共有したいと願っています。絵本という短いドラマの中で、子どもたちと心を通わせ、思いや体験を共有し、すてきなひとときを過ごせます。
お母さん、このメッセージのようにお子さんとからだを触れ合わせて、いっしょに絵本を読んであげてください。絵本はお子さんとのスキンシップにとっても大切な手段となります。お互いがからだの温もりを感じながら、子どもは絵本の中で主人公となってすてきな体験をし、豊かに感情を表し、自由な発想を展開させます。そして、お子さんが得た様々な感情や体験を共有し、絵本の中のいろんな出来事を通して、喜び、いたわり、やさしさなどの豊かな感性をお互いにはぐくんでいって下さい。
(田中祥介)