妊娠出産を迎える皆様へ
子どもを身ごもり、出産を迎えるというのは、何事にもかえがたい幸せなことではありますが、育てるという重責に不安を感じるものでもあります。すでに兄弟がいらっしゃるご家族でもさまざまな不安を持つことと思います。妊娠中によくいわれる胎教.、モーツアルトの音楽を聞かせるといいなどといわれることもありますが、これは音楽の問題ではなく、モーツアルトの音楽を聴くことにより、お母さんがゆったりとした気分になることが胎児へいい影響を与えるのだと考えられています。それは出産後も同じで、母子関係において、母の精神状態はかなり大きな影響を及ぼします。お母さんが落ち着いていると子どもも落ち着いて過ごすことができますし、反対にお母さんがいらいらしていると子どもも些細なことで泣いたり、かんしゃくをおこしやすかったり、落ち着きがなかったりします(母子相互作用)。つまり、お母さんが精神的に安定して過ごせることがとても大切なのです。近頃育児についての不安を解消するために出産前小児保健指導(プレネイタルビジット)という制度があります。これは、妊娠中に育児の心構えや日常生活上の注意、子どもの病気や予防接種(最近は2ヵ月から接種開始)などの健康面や事故防止など子育てに関する不安や心配を個別で小児科医に相談できるシステムです。赤ちゃん用品を取り揃える準備も大切ですが、新たに始まる育児についてあらかじめ相談し心の準備を行うことも重要なことです。出産後、育児で困ることがあれば保健センターや保健所の保健師、地域の子育て支援センターなどでも相談することができます。初めから完璧な親はいません。子育ては親育て「育児⇒育自」であり、育てていく中で親も親として育っていきます。ぜひこういう制度を利用し、安心して子育てしていただきたいと思います。
(神原雪子)