食べ初め
お宮参りにつぐお祝い事です。「お食い初め」「箸初め」「箸立て」「箸そろえ」「魚味の祝」などと地方によって名称が違います。心当たりのある方もいらっしゃると思います。
生後100日めあるいは120日めに、赤ちゃんのために食膳を整えて、赤ちゃんの健康をお祝いする儀式です。儀式の内容も地方によって多少の違いはあります。
食べ初め用のお膳と食器は、昔は母親の実家が贈るしきたりでしたが、現在はデパートなどで買い求めることが多くなりました。お膳と食器は離乳食に使えるようになっています。
お祝いの膳は、ご飯を盛った上に小さなおむすび2個、吸い物(鯛または鯉)、尾頭付きの魚、梅干し5個、小石を3つのせた小皿です。それに紅白の餅5つをのせた二の膳がつきます。
両親、兄弟などのほか親しい人を招きます。儀式といっても、口元へ当てて、食べさせる真似をするだけのことです。祖父など長寿の方にしてもらうのが普通です。儀式のあとは、大人が酒食を共にして、赤ちゃんの成長をお祝いする場になります。
ところによっては、その地区の有力者に一日養い親になってもらうこともあります。赤ちゃんは、自分たちだけで育てるのではないということです。近親や知人だけでなく、地区の人々のお世話になって一人前になるのです。地区の人々も、赤ちゃんの健やかな成長をお祝いするだけでなく、無事に成長するのを見守るのです。
こうした儀式は現代の世相に合わなくなりました。出来なくなったとも言えます。ご両親だけでお祝いをなさってよいのです。しかし、子どもは、みんなで守り育てようという気持ちは必要なことではないでしょうか。
この儀式には、ご飯を盛って首がしっかり座りますように、小石は歯が丈夫になりますように、一生食べ物に困らないように、少しむつかしいかも知れませんが、お米に宿る霊を赤ちゃんに付与して、離乳食がうまく食べられますようにとの願いが込められています。
(安達雅彦)