首のすわり
赤ちゃんは、日を追ってどんどん発育、発達していきます。この発達過程を定期的に確認していくことは、赤ちゃんの健全な発育のためにとても大切なことです。4か月健診はその中で重要なポイントとなります。この時点で小児科医が最も注意して見るのが、“首のすわり”です。仰向けに寝た赤ちゃんの両手を持って引き起こすと、頭が遅れないで起きて来て、体幹の軸と頭の軸が一直線になっている。この状態で、「首がすわっている」と判断されます。ほとんどの赤ちゃんが3~4か月の月齢でこの段階に達します。5か月を超えて首のすわりが不完全であれば要注意と言うことになります。もちろん発達には個人差が有りますから、他のチェック項目の結果やお母さんのお腹にいた週数と合わせて、総合的に判断されるべきですが、何か病気が隠れていないかを疑う必要が出てきます。例えば脳性麻痺や他の神経疾患、筋肉疾患、先天性代謝異常症などです。この様な場合慎重な経過観察や、色々な検査を行うことになります。しかしこれらの大きな病気だけが原因でしょうか?
私の経験では、2例の養育環境による遅れがありました。1つは、うつ伏せ寝で突然死の頻度が高いと言う情報からお母さんが怖がって、ほとんどうつ伏せにしなかった場合、もう一つはお母さんがまだ幼い上の子達の育児に忙しく、赤ちゃんを充分にかまってやらなかった場合です。これらのお母さん達には「赤ちゃんが起きている時には積極的にうつ伏せにして、働き掛けてやって下さい」とお願いしました。
首がすわれば、赤ちゃんの視野が飛躍的に広くなり視覚を通した情報量は倍増します。また頭部を自由に動かせることが背筋や腕の力の強化をすすめ、寝返りやはいはい運動へつながって行きます。その意味でも首のすわりを促す訓練はとても大切と言えるでしょう。
(黒瀬裕史)