日光浴
1998年に、母子手帳から「日光浴をさせていますか」という記載がなくなりました。日本の通常の育児環境では特に日光浴をしなくても必要なビタミンDは確保されクル病の心配はないことがわかってきたこと、さらに紫外線による皮膚傷害の問題が指摘されるようになったためです。
太陽からは赤外線・可視光線・紫外線・X線・電波に至るまで様々な波長の電磁波が出ています。このうち皮膚障害の原因として主要なものとしては紫外線です。紫外線は波長の長い方からUVA、UVB、UVCに分けられています。
長波長(UVA):太陽紫外線のうち、約9割を占める。UVAによる日焼けはそれほど皮膚が赤くならず、あとで黒っぽい色素沈着が起こる。シミやシワの原因をつくる。
中波長(UVB):UVAの線量の10分の1程度。UVBは浴びた直後から赤くなり、皮がむけたり水泡ができたりするほどの日焼けになる。また、皮膚がんの原因になる。
短波長(UVC):現時点では、オゾン層が破壊されない限り、地表には届いていない。人工的には殺菌灯などとして使用。
日本人は黄色人種であり、アメリカやオーストラリアに比べると10分の1程度と皮膚ガンの発生は高くありません。したがって、過剰な心配は必要ありませんが、一定の日焼け対策はしておいた方が良いと考えられます。特に真夏の炎天下で遊ばせる時はつばの広い帽子を着用したり、裸ではなく薄くても着衣を付けた状態にした方が良いでしょう。サンスクリーンの使用についてはまだ一定の見解はありませんが、紫外線の強い環境では利用を考えても良いでしょう。その一方で、日光を過剰に怖がって室内で保育するというのも考えものです。赤ちゃんを外気に触れさせたり、天気のよい日に薄着で散歩するとか屋外で適度の運動を行いましょう。特に、食物アレルギーの制限食が原因でビタミンD不足となり、クル病を発症した事例などが数多く報告されるようになってきています。そういう特殊な場合でなくても適度な日光浴はやはり必要と考えます。
(川崎康寛)