乳児寄生菌性紅斑(カンジダ皮膚炎)
オムツかぶれ
オムツかぶれは、オムツの“むれ”や便・尿の成分が刺激になって生じます。近年は高品質の紙おむつが発達し、高分子ポリマー吸収材により液体成分が吸収されてオムツかぶれは減ってきていますが、下痢が長引いたり,皮膚の脆弱により、薬を塗ってもなかなかオムツかぶれが治らなくて困ったことはありませんか。その場合は乳児寄生菌性紅斑(カンジダ皮膚炎)の可能性がありますので、医師の診察を受けて下さい。ここではオムツかぶれの原因の一つであるカンジダによって引き起こされる乳児寄生菌性紅斑についてお話します。
乳児寄生菌性紅斑はカンジダアルビカンス(Candida albicans)という真菌(カビ)が原因で生じます。水虫などの真菌と異なり、カンジダは健康人の消化管に常在していて糞便中に排出されます。皮膚の表面は角質層という丈夫な層で覆われており、角質層は外からの刺激に対して皮膚を守るバリアーの役目をして細菌やカビなどの侵入を防いでいます。ところが、そのバリアー機能がオムツの“むれ”や外用剤の使い過ぎなどで破壊されて、糞便中のカンジダが侵入して皮膚炎を起します。糞便中のカンジダ以外に、ヨダレや介護者の手を介してカンジダに感染することもあり注意が必要です。
症状は、股から臀部の皮膚に赤いただれを生じ、その辺縁の皮膚が薄く膜様にはがれて一見レース様を呈し、さらにその周りに小さな紅いブツブツが衛星のように沢山できます。オムツ皮膚炎と異なり股のくびれた部分や皺の深い部位など皮膚の凹面に病変が強くみられるのが特徴です。
また汗疹(あせも)様の小さな米粒くらいの細かいザラザラした発疹が臀部から腰部にかけて、時に上半身やわきの下、首の周囲にも広がって汗疹と見間違えることもあります。これをカンジダ性間擦疹といいますが、皮膚がジクジクしやすいのが特徴です。
カンジダ皮膚炎の診断は、顕微鏡検査でカンジダの菌糸を証明してもらうか、培養検査で比較的簡単にできます。カンジダに効く適切な外用剤を使用すれば、通常は1週間程で軽快して予後の良い疾患です。お尻を湿潤状態にならない様に注意して再発しないように心掛けましょう。
(小田公子)