1 歳半以下の乳幼児の運動発達のQ&A
運動発達遅れの乳幼児をお持ちの母親がよくする質問をまとめました
Q:よそのお子さんに比べて、うちの子はやや遅いと思います。運動発達の遅れをどう判定するのでしょうか
A:一人歩きまでの主な運動発達を10段階にわけて、その達成すべき月齢を表1に示します。お子さんの月齢と現在の発達状況とを比べて、3段階以上の差があれば運動発達の「遅れがある」と、差が2段階ならば「やや遅れがある」と判定します。差が1段階なら、直ちに遅れと判定しません。なお、月齢20か月になっても、一人歩きできない子には直ちに運動発達遅れがあると判定します。
例えば、8か月のお子さんなら段階5(腹ばい前進)まで発達するべきであり、このお子さんが未だ寝返ができないのなら、段階2に止まっているので、運動発達遅れがあると判定してよいでしょう。
月齢 | 達成するべき運動 | |
---|---|---|
3か月以下 | 段階0 | 首すわり不安定 |
4か月 | 段階1 | 首すわり安定:抱き上げも首がぐらつかない |
5か月 | 段階2 | 仰ぐ:うつぶせのまま、顔を斜め上方まであげる |
6か月 | 段階3 | 寝返り:自力で向きが換えられる |
7か月 | 段階4 | 支えられ座り:座らしたらしばらく安定している |
8か月 | 段階5 | 腹ばい前進:うつ伏せになり、腹でずるずる |
10か月 | 段階6 | 一人立ち:立たせたら、一人でしばらく立てる |
14か月 | 段階7 | 一人歩き:何歩かよちよち歩ける |
18か月 | 段階8 | 上手に歩く(10メートル以上) |
20か月 | 段階9 | 後ずさり歩き |
Q:原因は何ですか、どんな検査をするのでしょうか
A:子どもの発達は身体発達(脳神経、内分泌を含む)、運動発達、言語発達、社会性発達、知能発達などがあります。運動発達はそのなかの一つにすぎません。これらの発達が、互いに連動していて、一つの遅れがあると、他の発達も遅れる可能性があります。乳幼児期には運動発達が著しく変化するので、専門家に、運動発達だけでなく、これらの発達の異常があるかどうかを診察してもらうことがとても重要です。特に脳性麻痺の見分けが必要です。検査は、主に血液検査、代謝性疾患検査、脳MRI、脳波などです。
Q:育て方によって、子どもの運動発達は変わりますか
A:変わります。育て方は子どもの社会性に影響を与えているので、運動発達への影響がありえます。例えば、寝かされっぱなしの赤ちゃんは、首すわりが遅れます。片方へ向きっぱなしで寝ている子は、寝返りが遅れ、歩行器の早期使用は座位の発達が遅れるなどがよく知られています。逆に、運動発達によい育て方をすれば運動発達が順調に伸びて、遅れのあるお子さんに大変よい結果をもたらします。
Q:運動発達遅れに治療は必要ですか、どう治療するのですか
A:脳性麻痺と判明したら理学療法プログラムにそって治療が必要です。しかし、麻痺がなく、あるいは麻痺が未だはっきりしていない時期には、運動発達を促すよい育て方をすれば、かなり良い結果につながります。それは運動発達のみならず、社会性の発達にもよい影響をもたらします。子どもの運動発達によい育て方を指導してくれる所は各区役所(大阪市)や市町村に窓口があるので、お問い合わせ下さい。
(周山逸人)