乳幼児の言葉の遅れについてのQ&A
言葉が遅いお子さんをお持ちの保護者がよくする質問をまとめました
Q:どの程度の言葉の遅れで、一度診察してもらった方がよいか
A:(1)1歳半までに意味があっている単語が一つも言えなかったら診察を受けた方がよいでしょう。意味があっている単語とはお母さんのことをママと呼ぶ、アンパンマンをパンマンと言うなどです。
(2)2歳までに意味のある二語以上の句が言えなかったら診察を受けた方がよいでしょう。二語以上の句とはじーじすき(じいちゃんすき)、ちゅうしゃ(注射)などです。
Q:言葉の遅れをきたす病気は?
A:最も多いのは、
(1)知的遅れ:知的遅れの子は言葉の遅れが多いが、言葉遅れの子は必ずしも知的遅れではありません。
(2)聴力障害:全く聞こえないか、難聴になっている場合があります。
(3)言語発達障害:発音不明瞭、意味錯誤、文法不正確、構文欠落などです。
(4)自閉的障害:落ち着きがありません、大人と目線があいません、呼んでも振り向きませんなどの症状があります。
Q:診察の目標は?
A:以下の2点を確認するためです。
(1)本当に言葉が遅れているかどうか
(2)治療してよくなるものかどうか
Q:診察をどのように進めますか?
A:以下のように進めます
(1)言葉以外の発達遅れの有無を確認
(2)聴力の障害の有無を確認
(3)脳・神経系統の異常や代謝性疾患の異常の有無を確認
(4)治療方針を決めます
(5)治療効果の出にくい病気の場合は福祉の利用等指導を行います
Q:最初はどんな検査が必要ですか
A:(1)どの程度の遅れかを確認します。(表1を参照)
(2)知能テスト、言語テスト(必要に応じて専門検査用紙を使用します。
年齢 | 音声を発する発達や言葉の発達 |
---|---|
2か月 | あやしたらほほ笑む、のどが音を出そうとする |
3か月 | あやしたら共鳴的声を出す |
笑う | 母音の反復 |
9か月 | 手を振ってバイバイする、ママなど |
12か月 | ママ、パパ以外にもう一つの言葉ができる |
15か月 | 指さしに、単語 |
18か月 | 言葉10個位、喃語もする |
21か月 | ニ語文 |
24か月 | 30~50語、三語文 |
30か月 | 自分の名前を知っている |
36か月 | 3まで数える、年、性別を答える |
48か月 | 4つのものを数える、簡単な物語を言う |
60か月 | 10まで間違いなく数える、言葉の意味を聞く |
Q:精密検査が必要ならば、どんな検査がありますか
A:最も多いのは、
(1)脳波:脳細胞の電気生理学機能の異常の有無を検査する方法です。
(2)ABR(聴性脳幹反応):音声を聞かせながら脳波反応を測定し、音声に対する脳の反応を検査する方法です。聞分けのまだできない乳幼児の聴力を調べる方法の一つです。
(3)頭部CTかMRI:脳内の形成異常などを検査する方法です。
(4)染色体検査:採血して検査します。
(5)先天性代謝性疾患のスクリーニング:血液と尿などで代謝性疾患の有無の検査方法です。
(6)聴力検査:どれくらいの音まで聞こえるか、聞こえないかを検査します。
注:必要に応じて、頭部CT、MRI、脳波、ABRと一部の聴力検査は睡眠薬を子どもに飲ませ、寝かせて検査することもあります。
(周山逸人)