乳房肥大

 

cc131 女の子が子どもから大人になっていく時、身体には色々な変化がおこります。その一つが乳房肥大です。突然、乳首のしこりに気づき、乳ガンではないか、と心配して病院に来られることがあります。早い年齢で乳房肥大が始まった場合、色々な病気が原因になっている可能性があります。

 ふつう女の子では7歳半から12歳の間に乳房肥大が始まります。従って、7歳半未満で乳房肥大が始まった場合や、13歳になっても乳房肥大が始まらない場合に病気の可能性があります。早すぎる場合を思春期早発症、遅すぎる場合を思春期遅発症といいます。

 今回は早すぎる場合について説明させていただきます。最も多いものは、単純性早発乳房と呼ばれるもので、生後6か月頃に始まり、2歳半頃に自然に治ってしまうものです。月経が始まることはなく、治療の必要のないものです。約90%がこのタイプです。一方、脳腫瘍、卵巣腫瘍、副腎腫瘍などの腫瘍、及び水頭症や脳炎の後遺症など脳に病気がある場合に、女性ホルモンが過剰に分泌され思春期が早く来ることがあります。さらに、原因がはっきりしない、特発性思春期早発症と呼ばれるものもあります。思春期早発症は治療をしないと、月経が低年齢で始まり、身長も一時的には高くなるのですが、早く伸びが止まるため最終的に低身長になります。

 早発乳房と、思春期早発症とを見分ける最も簡単な方法は、身長の伸びをみることです。一過性の早発乳房では身長の急激な伸びはみられません。病的な思春期早発症が考えられるときは、ホルモンの負荷試験や頭のMRI、腹部のMRI、超音波検査などを行います。何も原因が見つからない場合、特発性思春期早発症として、思春期をおさえる治療を行います。最も確実で安全な治療は、月1回皮下注射をおこなう方法です。普通の思春期がおこる年齢になるまで続けます。

(藤田敬之助)

 

 生後半年から2歳ごろまで, その他   投稿日:2006/09/01