左利き

 

cc136 「天才に左利きが多い」。そういえば、ダ・ビンチやミケランジェロも左利きでした。

 そもそも人間の体はほぼ左右対称にできていますが、大脳は左右に分かれていて右脳が左半身を、左脳が右半身を支配しています。また、運動や感覚などのほかにいわゆる知能の面でも右脳と左脳とで働きが違っていることも分かってきました。つまり、左脳は言語や論理的思考、あるいは「物事を順序立てて考える能力」に関係しているのに対して、右脳はイメージや芸術的能力、あるいは「ぱっと見て理解する能力」に関するといわれています。してみれば、左利きの人は右脳がつよく、イメージやアートに高い能力をもち、いわゆる「ひらめき型」が多いということになります。芸術家や天才に左利きが多いのもこういう理由からでしょうか。

 「左利きって子どものうちに直しておいたほうがいいでしょうか」お母さんから時々聞かれる質問です。確かに字を書くこと以外にも左利きの人には使いにくい道具が世の中に多く、将来不自由しないようにというお気持でしょう。しかし、元来左利きの人は右脳を使って手足を動かすのが得意なわけですから、それを左脳に肩代わりさせるというのは優秀な右脳を使わずにいるようなものではないでしょうか。

 ところでアインシュタインなどの伝記をみると「天才」と呼ばれる人達が学校で「読み書き」や「学習」で苦労したという話は少なくありません。しかし彼等は「言葉」で表わせなくても豊かなイメージの世界に住んでいたのであって、決して能力そのものの問題があったわけではないのです。偏差値で能力をはかる前に子ども一人一人の個性を尊重することがいかに大切かよく分かると思いませんか。

 もし、お子さんが左手を使い、ひらめき型のユニークな一面を持っているなら、まずその個性をよく認めてあげてください。そして自然に、自信を持って得意な左手を使えるようにしてあげたいものです。

(鈴木周平)

 

 生後半年から2歳ごろまで   投稿日:2006/09/01