転落事故
転落事故では、頭部外傷が生命を左右することが多く、適切な救急処置が必要です。従って、次のような状態を正確に把握して、診察を受けた時に伝えることが必要です。
- 転落時間:頭蓋内出血やショック状態など、時間の経過で変化するためです。
- 転落直後の状態について:
- 意識障害の有無:転落直後の啼泣の有無とその後の啼泣状態の変化を知ること。
- 脳圧の変化:嘔吐・吐き気、頭痛、けいれんの有無を知ること。
- 頭部外傷の有無:鼻孔や耳孔からの出血あるいは髄液の漏出の有無を知ること。
- チアノーゼの有無:何時からチアノーゼ(皮膚の色が青くなる事)が現われたかを知ること。
- 転落事故を起こした周辺の状況:転落の高さ、転落場所のかたさも大事であり、畳の上で子ども用サークルから転落しても大きな事故になることもあるのです。
小児の姿勢がどうだったか、前額部を打ったか、後頭部を打ったかなども知る必要があります。頭にこぶがあるかどうかも重要なことです。
また、転落事故によって、しばしば腹部外傷を受けることもあります。そこで、腹部外傷には単なる打撲の場合と、腹部臓器に損傷のある場合があり、損傷には実質臓器の破裂と内腔臓器の破裂があります。これらは急激な大量出血を伴い、ショック状態となることがあり、注意深い観察が必要です。
ショック状態の観察については、顔面蒼白、血圧の低下、脈拍の変化(頻脈や微弱)・冷汗・意識障害などをおこします。
小児は、わずかな外力で脱臼をおこします。最も頻度の高いのは肩関節の脱臼です。腕をのばして転倒したり、転落したときにおこりやすいのです。
いずれにしても、気道確保や心臓マッサージ、及び人工呼吸の講習を受けましょう。
(鶴原常雄)
事故と安全
投稿日:2006/09/01