頭部打撲時の対応
子どもはよく頭を打ちます。体の割に頭が重く大きくて、体のバランスをとることも転び方もうまくできないので、転ぶと顔や頭が先に落ちます。
年齢によって危険性はちがいます。生後6か月ぐらいまでは、ベッドから落ちても脳内出血など重症になる可能性があります。はいはいなど動き回るころには少しずつ強くなり、1歳を過ぎると、畳・じゅうたん・フローリング・草地・砂地・軟らかい土・木など衝撃の弱い床では1m以内の高さから落ちても、ほとんど重症にならないことがわかっています。床は重要で、コンクリートやアスファルトや石や鉄板などは衝撃が強く、30~50㎝の落差でも重症になる危険性があります。
頭を打ったあと、意識がない・けいれん・大量出血・頭が異様にへこむ等の症状があれば、ただちに救急車を呼びましょう。
直後に泣き出すことは、意識がはっきりしていたことを示します。その後特に変わった様子がなければ、そのまま様子を見ていいです。打った箇所を氷水か保冷剤で約20分間冷やすと、コブや内出血は小さくて済みます。うまく冷やせない場合コブは広がりますが、頭の中に悪影響はありません。皮膚のへこみは、触ってわかる程度で痛みも少ないなら緊急性はありません。
無症状で、診察して体に異常が見当たらない場合そのまま様子を見ることもよくあります。ご家庭で様子を見るときのポイントは、『元気さ』『顔』『嘔吐』の3つです。だんだん元気がなくなる・顔色が悪い・表情がぼんやりして受け答えがおかしい・繰り返し吐く等の症状のうち、一つでもあったらすぐに受診してください。受診先は脳神経外科・小児科・外科または救急外来です。受傷後3時間以内が最も要注意、24時間以内は要注意です。激しい遊びをせず室内で過ごし、お風呂につかるのは止めましょう。24時間以後は普通に生活しますが、3日間は3つのポイントに注意しましょう。4日目以後に症状が現れることはまずありません。
(福井聖子)