アデノウイルス感染症

 

cc191 今年もプール熱のお子さんが多く受診されました。

 プール熱は医学用語で「咽頭結膜熱」といいます。アデノウイルスというウイルスで感染します。このアデノウイルスは咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの呼吸器感染や咽頭結膜熱や流行性角結膜炎などの眼疾患、胃腸炎などの消化器疾患、出血性膀胱炎などの泌尿器疾患また肝炎や脳炎に至るまで多くの病気を引き起こします。また現在51種類の血清型が知られ繰り返し感染することになります。中でも夏期に流行する咽頭結膜熱「プール熱」は主に3型が多く夏だけでなく冬にもみられます。

 プールで感染することが多いのですが、プール以外でもお風呂やタオルの共用、通常の飛沫感染や手指を介した接触感染もあり家族内の感染もみられます。感染しても5日から7日は症状がでません(潜伏期)。

 突然39度を超える発熱と喉の痛みと結膜の充血で発症し、中には頭痛や嘔吐、下痢、腹痛といった消化器症状や肺炎に至るまで多彩な症状がみられます。最近ではウイルス抗原を検出するキットを使い迅速診断が可能です。

 ウイルス感染なので特異的な治療法はなく抗生剤は効きません。対症療法が中心となり高熱に対しては涼しい部屋で寝かせ氷枕などで冷やしてあげます。喉が痛いため食事は味の濃いものや熱いもの、ざらつきのあるものは食べにくくプリンやゼリー、冷めたおかゆやスープなどを与えます。水分もとれないときには点滴も必要になることがあります。目の症状が強いときには眼科治療が必要です。

 症状は5日から7日で治まります。眼脂や咳がなければ解熱後2日すれば学校にも行けますが、ウイルスは長く(約1か月)便から排泄されるため下痢をしているときにはプールは入れません。

 予防するには(1)プールでは、ゴーグルを着けましょう。(2)タオルの共用はやめましょう。また、(3)家庭でも流水と石けんでまめに手を洗いうがいをする習慣をつけましょう。

(須藤博明)

 

 感染症   投稿日:2006/09/01