細菌性腸炎

 

cc200 急にお腹が痛くなって、もどしたり、下痢をしたり、熱が出ることもある「腸炎」。その中で、ばい菌(細菌)によって起こったものを「細菌性腸炎」といいます。細菌性腸炎は、その原因となる菌に汚染された食べ物を食べたり飲んだり、あるいは身近にいる動物から感染して起こります。一年を通してみられますが、特に夏場に多くみられます。その便は、ウイルス性腸炎の便に比べて、血が混じったり(血便)、粘液や膿が混じった汚い色の便になることが多いです。

 原因菌の代表的なものは、

  1. サルモネラ菌:この菌をもった犬、猫、小鳥などの糞便をさわった手や、菌に汚染された肉、卵から感染します。亀をさわって感染する事もあります。最近では、生卵を食べたときの感染が多く報告されています。
  2. カンピロバクター菌:家畜やペット類の腸管に寄生していて、これらに汚染された、加熱不十分な肉(鶏肉が多いと言われている)を食べた時に感染します。まれに治った後1~3週間してギランバレー症候群(神経・呼吸筋麻痺を起こす)になる事があります。
  3. 腸炎ビブリオ菌:海にいる細菌で、この菌を持った海の魚介類を加熱不十分で食べることによって発症します。最近は輸入食品による腸炎ビブリオ腸炎も増えてきました。
  4. 病原性大腸菌:O157が有名になりましたが、他にも沢山の病原性大腸菌があります。O157を代表とする「腸管出血性大腸菌」感染症では、牛肉類を生のまま食べた後、腹痛・下痢・著しい血便などの症状をおこし、「溶血性尿毒症症候群」などたいへん重い合併症を起こすことがあります。
  5. ブドウ球菌:黄色ブドウ球菌から産生された毒素(エンテロトキシン)を含む食品を食べた時、嘔吐・下痢が生じます。毒素が体に入ることによって発症するため、症状の出方は急で食後数時間で発病し、発熱はみられません。この毒素は熱に強いため、食前の加熱では防げません。
     生のままや十分に火の通っていないお肉、作ってから時間の経ったおにぎりやお弁当は食べないようにしましょう。

*「食中毒」の項目も参考にして下さい。

(小野 厚)

 

 感染症, 消化器   投稿日:2006/09/01