百日咳

 

cc202 百日咳菌を含む飛沫(咳、くしゃみに含まれる水滴)を吸い込むことによっておこる感染症です。乳幼児、特に2歳以下に多く見られ、生まれたばかりの赤ちゃんでもかかることがあります。家族内や、保育所、幼稚園などの集団生活の場でうつります。最近は成人の長引く咳の2割が百日咳という報告もあるので、大人からもらう可能性も高いといえます。

 症状ははじめの1~2週間は鼻汁、軽い咳など風邪と区別がつきませんが、次第に咳が強くなってきます。やがて痙咳(けいがい)期といって、短い咳が「コンコンコン…」と5~10回発作的に続き(スタッカート様咳そう)、その後「ヒユー」と勢いよく息を吸い込むパターンを繰り返す、百日咳特有の咳(この繰り返しをレプリーゼといいます)になってきます。顔面は紅潮し、ひどい時には口唇が紫色になるチアノーゼが現れたり、顔がむくんだり、首から上部に出血斑が出ることもあります。レプリーゼは夜間にひどくなることが特徴です。新生児期から乳児期早期にかけては特有の咳が見られず、突然、呼吸が止まったり(無呼吸発作)、チアノーゼ発作で現われることが多いので注意が必要です。通常発熱はなく、約2~4週間痙咳期が続いて回復期に入いります。回復期に入ると、咳の程度も回数も次第に軽くなります。全経過3か月程度です。

 注意すべき合併症としては肺炎があげられます。経過中発熱を認めたら要注意です。また新生児期から乳児期早期では、無呼吸発作を反復したあと、けいれんをおこすなど重症化することがあり油断できません。

 診断は特有の咳と血液検査などで行われます。発症初期から抗菌剤を投与すると痙咳期の咳をやわらげることができます。また抗菌剤をのむと周りの人にうつす心配も少なくなります。保育所や幼稚園などへは百日咳特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌剤治療が終了するまで行けません。三種混合ワクチンで予防できますので、生後3か月以降なるべく早く接種しましょう。

(山崎 剛)

 

 感染症   投稿日:2006/09/01