アレルギー性鼻炎

 

子どもの花粉症

cc208 毎年2~5月になるとくしゃみ・鼻水・鼻詰まりに悩まされるスギ花粉症は、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎・結膜炎をいいます。花粉症は4~5歳以降に発症することが多いのですが、最近低年齢でも増えてきています。普通、花粉症が起きる仕組みは、IgE抗体が関係するⅠ型アレルギーであることがわかっています。スギ花粉に対する特異IgE抗体を持っていると、鼻や目の粘膜にあるマスト細胞にくっついてスギ花粉に対する見張り役・アンテナの役割をしています。そこへスギ花粉がくるとこの抗体と反応して、マスト細胞からヒスタミンなどの化学物質が遊離されます。

 このヒスタミンには、(1)かゆみをおこす(2)血管の透過性を高めるなどの作用があり、くしゃみ・かゆみ・鼻づまりがおこるのです。花粉の飛ぶ時期は、大阪では、スギ花粉の場合2~5月、雑草のカモガヤの花粉5~7月、ブタクサの花粉は8~10月と決まっているので、症状の出る時期でどの花粉のアレルギーか大体予想がつきますが、血をとって調べてみると、どんな花粉に対するアレルギーがあるか(IgE抗体があるか)わかります。予防は原因の花粉を避ける(マスクをつける)ことですが、なかなか大変です。そこで、予防兼治療としてマスト細胞からのヒスタミンの遊離を抑える抗アレルギー薬やヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬を花粉の飛ぶ時期にあわせて服用したり、点眼・点鼻したりします。また、自律神経を強めるとアレルギー反応がでにくくなるので、風呂上りに水をかぶるなどの鍛錬も長い目でみれば体質改善につながります。体質改善では、脱感作療法という、原因花粉エキスを薄めて注射する方法もありますが、長期間毎週注射しなければならず、しかもスギ花粉ではワクチンが開発されて臨床応用が目前ということもあり、小児にはあまりお勧めではないというのが私の意見です。体質といえば、アレルギー性鼻炎には、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)が合併しやすいこと、また、IgE抗体をつくる体質は、遺伝だけでなく環境因子も関係しており、同じスギ花粉の飛ぶ地域でも、道路際に住んでいるほうがスギ花粉症になりやすいと言われています。最近増加している背景には、大気汚染だけでなく、農薬なども関係していると考えられています。きれいな水と空気・新鮮な食物・適当な運動や遊びは、アレルギーを防ぐ上でも大切なことですね。

(真鍋 穣)

 

 アレルギー, みみ・はな・のど   投稿日:2006/09/01