気管支ぜん息 総論・疫学

 

cc209 気管支ぜん息は、呼吸をするときに空気が出入りする通路である気管支が細くなって空気の流れが悪くなる病気です。気管支の壁が慢性的に炎症(ただれて赤くなりむくんだ状態)をおこしているため、健康な人に比べると通り道が細く、様々な刺激に対し過敏で反応しやすくなっています。ホコリ、ダニやペットなどによるアレルギー、カゼや気管支炎などの感染、花火やたばこのけむり、激しい気温の変化や運動などが刺激となり気管支は更に細くなるため呼吸がしにくく息苦しさを感じます。これがぜん息発作です。発作の程度はさまざまで軽ければ咳や喘鳴(ぜんめい:息を吐く時に聞こえるゼーゼー・ヒューヒューという音)があっても全く普通に生活できますが、呼吸困難が強く食事や睡眠が障害される場合もあり、時には死に至る危険性があります。しかし、病気を正しく理解し、症状を悪化させる原因を取り除くなど環境を整え、薬を上手に使うことで、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。単に発作を起こさないだけでなく、気管支の過敏性が低下し発作が起きにくくなるように炎症を抑える治療を根気よく続けることが重要です。

 子どものぜん息は10~20人に1人程度の頻度で、多くは3歳くらいまでに発病します。しかし、低年齢児ではぜん息以外の原因でもぜん息に似た症状を示すことがあるためぜん息の診断は容易でない場合があります。親がぜん息などのアレルギー疾患を有する場合や本人がアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどをもっていると発病率が高くなる傾向があります。成長にともない改善傾向が見られ思春期頃までに症状が見られなくなることが多いようですが、一部の人では軽い症状が残っていたり、呼吸機能が低下したまま成人に持ち越す場合があります。また、一旦軽快していても成人になって再発することがあります。かかりつけの先生と相談しながら治療を根気よくしっかりと続けて中断しないようにしましょう。

(井上壽茂)

 

 アレルギー, 呼吸器・循環器   投稿日:2013/05/01