乳幼児ぜん息・学齢期ぜん息・思春期ぜん息

 

cc210 小児といっても年齢により少しずつ違いがあり成長や発達状態を考慮する必要があります。子どものぜん息の多くは2~3歳までに発症しますが、気道感染や鼻・副鼻腔炎などが原因でぜん息とよく似た症状を示すことがあるため、ぜん息の診断は容易ではありません。繰り返す場合やアレルギー素因が濃厚な場合には積極的にぜん息を疑い治療に対する反応性を確認する必要があります。ぜん息の場合には発症早期に気道の炎症を抑える治療を行い重症化させないことが大切です。乳幼児期の症状や治療に対する反応性の評価には保護者の的確な観察が不可欠です。服薬や吸入などの治療を嫌がって上手にしてくれないのも乳幼児の特徴です。根気よく嫌がらずにできるように工夫する必要があります。

 学齢期になれば、ぜん息についての正しい知識や治療の必要性について患児が理解できるように年齢に応じた説明をしてあげてください。乳幼児期のように保護者がすべてを担うのではなく患児自身がぜん息と向き合い、治療に取り組めるように援助する必要があります。ピークフローを測定したりぜん息日記を記入したりしながら徐々に自己管理能力が高まるようにしましょう。運動量が増加し、激しい運動をするとぜん息症状を認める場合がありますが、適切に治療することで楽しく運動することが可能になります。学業や習い事などで忙しく頻回の医療機関受診が困難となり、症状が改善すると治ったのではないかと自己判断で治療を中断しがちですが、治療の中止については必ず主治医と相談してください。

 小児ぜん息の多くは思春期になれば軽快し症状を認めなくなります。しかし、心身のバランスが不安定になり急激に強い発作を認める場合があります。他者への反発や自己過信などからぜん息治療を継続しない児も増加します。喫煙などの誘惑も増えますが、大人に持ち越したり重症化したりする危険性が高いので治療を中断することなく適切な自己管理を継続するように心がけましょう。

(井上壽茂)

 

 アレルギー, 呼吸器・循環器   投稿日:2013/05/01