アトピー性皮膚炎 なぜ起こるの?
最大の原因は、種々の刺激に皮膚が図太くなくて、敏感で弱いことにつきる。アトピー性皮膚炎治療ガイドラインによると、発症・悪化因子は年齢・個々人によって多少異なる。乳児で湿疹の70%がアトピー性皮膚炎、そのまた70%が食物が原因(卵・牛乳・小麦など)のアトピー性皮膚炎(AD)である。すなわち、湿疹の50%が食物が原因のADということになるが、この食物との原因は、年齢と大きく関係があり学童以上になるとほとんどゼロに近くなる。乳幼児ほど、よだれ、食べこぼしなどの影響を受けやすい。すべての年齢に共通して原因となるものに、汗、乾燥、掻破、物理化学的刺激(石鹸、洗剤、衣服のこすれなど)、アレルゲン(ダニ、ホコリ、ペット)、細菌・真菌がある。年長児~成人ほどメンタルストレス(からくる掻破)が原因のことがある。ふだんから自分には何が悪化因子となっているかを考える習慣をつけておくことが大切である。
2006年に、ADの30%でフィラグリン遺伝子の変異/欠損が見つかり、バリア障害がAD最大の原因であることが明らかとなった。まさに「皮膚が弱い」である。バリア障害があると、ドライスキンで皮膚のPHは弱アルカリとなり、proteaseが活性化され皮膚内でアレルギー反応がものすごく起こりやすくなる。黄色ブドウ球菌や掻破刺激がさらに拍車をかける。しかし、バリア障害だけではADは悪化・遷延しにくい。もともとアレルギー体質の人ほどADはさらに悪化しやすい(outside-inside-outside 仮説)ことがわかっている。このもともとアレルギー体質のある人は、皮膚からアレルギーマーチが始まる可能性がある。なので、Allergymarch,Onediseaseととらえたスキンケア作戦が乳児期早期から重要である。すなわち、生後2~3か月ごろからの皮膚をできるだけつるつるに維持することが将来的に重要な意味を持つといえよう。
(末廣 豊)