食物アレルギー・アナフィラキシー

 

cc218 「食物アレルギー」という言葉を、小さなお子様をお持ちのお母様は聞かれたことがあると思います。食物は、本来、食中毒や毒性食物などでなければ、通常は美味しく食べられ、身体にとって有害なことは起こしません。しかし、一部の人にとっては、ある食物を食べると、また皮膚に触れると、免疫学的反応で生体にとって不利益な症状が起こることがあり、この現象を「食物アレルギー」と呼んでいます。この食物アレルギーは、現在5つのタイプに分類されていますが、乳幼児に多いのは1)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎と2)即時型反応の2つのタイプです。1)は、ある食物を食べると湿疹が悪化し止めると軽快するというものです。2)は、ある食物を食べるとすぐに(5分~2時間)、じんましんがでたり、咳が出たりする反応です。ひどい場合は、全身が真っ赤に腫れ上がって、息が苦しくなって、倒れて命に関わるような怖い反応を起こすことがあり、これを「アナフィラキシー」と呼びます。即時型の原因食物は、年齢によって異なり、乳幼児だと鶏卵、牛乳、小麦が多く、学童~成人では甲殻類、魚類、果物、そば、ナッツ類などです。アナフィラキシーを起こした食物は厳格に除去する必要がありますが、鶏卵、牛乳、小麦などは、年齢とともに食べられるようになることが多いです。血液検査での特異IgE抗体検査(RASTスコアがよく使われています)は、どの食物がアレルギーを起こしやすいとかどの位起こしやすいかの参考にはなりますが、絶対ではありません。結局、実際に食べて即時型反応を起こしたとか、起こさなかったという事実が最も重要な診断法となります。ただ、この診断法はアナフィラキシーを起こす危険のある検査のため、起こった時に対応できる医院や病院で、「食物経口負荷試験」として行う必要があります。アレルギー物質に気を付けていても、誤って食べてアナフィラキシーを起こす危険性は0ではありません。アナフィラキシーを起こした場合、急いで病院に行って対応してもらうべきですが、「エピペン」という自己注射器を使用されるケースも増えています。取扱いが難しいので、お医者さんから充分説明を受けてください。なお、この分野の説明は難しい事もあるため、ご希望があれば、かかりつけ医の先生からアレルギーの専門医を紹介してもらってください。

(住本真一)

 

 アレルギー   投稿日:2013/05/01