子どものけいれん(乳幼児期)
子どものけいれんの原因にはいろいろあり、年齢によって起こる病気が異なります。新生児の場合、出生した医療機関で見つけられ、適切な処置を受けますから、御家族の方が見つけるということはありません。そのため、もう少し大きい乳幼児や学童で考えてみましょう。乳幼児期は、一生の間で最もけいれんがおこりやすい時期で圧倒的に多いのは、熱性けいれんです。10歳までに1回以上起こしたことがある方は人口の8%もあるといわれています。熱性けいれんとは、生後6か月~5歳の乳幼児に起こる38℃以上の発熱に伴うけいれんで、脳炎・髄膜炎のような感染症に基づくものや、その他明らかな原因によるものは除外されます。初回発作後1年以内に再発するのは約70%、2年以内は90%もあります。再発しても大部分は問題なく、繰り返す熱性けいれんが頭や神経を破壊し、物事の理解や判断、行動などに異常を起こすことはほとんどありません。熱性けいれんを起こすとご家族の方はびっくりされると思いますが、ぜひあわてないで落ち着いてください。衣服とくに首周りをゆるくしてあげて、嘔吐をすることがあるので頭を体よりやや低く仰向けにし、顔だけを横に向け、頭をそり気味にしてください。吐いたものが口の周りや鼻孔に溜まっているときはガーゼで拭いてあげて下さい。薬や飲み物を飲ますのはやめましょう。同時に体温を測り、発作の時間を見るために時計を見ておきましょう。けいれんの状態に左右差がないか、眼がどこを見ているかみてみましょう。そして、元に戻るまで必ずそばにいるようにします。発熱を伴うけいれんには、細菌性髄膜炎・脳炎・急性脳症など重篤な疾患もありますから、(1)発作が10分以上続くとき、(2)はじめてのけいれんのとき(とくに1歳未満の場合は髄膜炎の症状がはっきりしない場合が多いので、みてもらうことが大事です)、(3)くりかえすけいれん、(4)発熱後数日たってからのけいれん、(5)意識が戻らないときなどはすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
乳幼児期には、発熱のないけいれん(てんかん・ウイルス性胃腸炎に伴うけいれん・憤怒けいれん・低血糖・脳奇形・神経皮膚症候群など)もありますから、かかりつけ医や病院を受診しましょう。
(今北優子)