食中毒
食中毒は、有害物質を含む飲食物を摂取して起こる中毒症状です。そのほぼ80%が細菌、約15%はウイルスが原因となりますが、その他に自然毒(毒キノコ、フグなど)や化学物質(農薬、洗剤など)が原因となる場合もあります。原因となる細菌やウイルスのついた飲食物を摂取した後に、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状を起こします。自然毒では麻痺などの神経症状が出ることもあります。
平成8年には腸管出血性大腸菌O157による大規模な集団食中毒事例がありましたが、最近の食中毒の原因としては、カンピロバクター菌、サルモネラ菌、ノロウイルス、腸炎ビブリオ菌が多く、その他に自然毒、ブドウ球菌もみられます。一般に細菌性食中毒は、高温多湿で細菌がふえやすい夏場に多く、ウイルス性食中毒は冬場に多くみられますが、今では冷暖房の普及や1年を通して食品が流通することから、いつの季節でも食中毒が起こる可能性があります。
食中毒を予防するためには、食中毒予防の3原則があります。1)細菌をつけない、2)細菌を増やさない、3)細菌を殺す、です。
細菌をつけない(清潔):調理の前には、必ずしっかりと手を洗いましょう。食品は清潔な器具で取り扱い、まな板やふきんなどは熱湯や消毒液で消毒しましょう。
細菌を増やさない(迅速・冷却):調理後は早く食べましょう。食べ物を保存する時は必ず冷蔵か冷凍し、食べる前に再加熱しましょう。冷蔵・冷凍で細菌が死ぬわけではありません。
細菌を殺す(加熱):細菌は熱に弱いので十分に加熱しましょう。食品の中心部が75℃で1分以上になるようにして下さい。コロッケやハンバーグなど、厚みのあるものは特に注意しましょう。なお、ブドウ球菌による食中毒は、調理者の手から食品に入り、その毒素によって発症し、毒素は加熱に強いため、調理者の手洗いが大事です。
この他に、野山に出かけた時、見たこともないきのこや山菜などをうっかり口に入れないように、またお家では洗剤や化学製品を子どもの目の届くところに置かないように、その成分が調理の中に入らないように注意しましょう。
*「細菌性腸炎」の項目も参考にして下さい。
(小野 厚)