子どもの血尿
学校検尿で血尿があるといわれました。本人は元気で、尿の色も赤くないですが、「血尿」って何ですか?
「血尿」とは、尿中に赤血球が出ている状態です。試験紙を用い、化学反応によって尿に赤血球が潜んでないか(潜血反応)をみる検査や、顕微鏡で赤血球数を数える検査(尿沈渣)で調べることができます。正常では潜血反応は陰性で、赤血球は顕微鏡の1つの視野に赤血球が1~2個見える程度です。目でみて判るほどの赤い尿または褐色の尿を「肉眼的血尿」といい、顕微鏡や試験紙ではじめてわかる場合は「顕微鏡的血尿」といいます。
集団検尿で検尿異常(血尿、蛋白尿など)を指摘される子どもは珍しくなく、毎年春から夏休み前頃は検尿で要受診とされた子どもが医療機関に多数来院します。なかでも潜血のみの陽性例が半数以上を占めます。
血尿の原因は何でしょうか?
大人では泌尿器の腫瘍が心配ですが、子どもでは非常にまれです。子どもの場合、まず血尿が腎炎によるもの(腎炎性血尿)か、そうでないもの(非腎炎性血尿)かを判断することが大切です。そのために医師による問診(他に症状がないか、本人・家族の既往歴)、診察、各種検査(尿・血液検査、超音波検査・レントゲンなど)を行います。腎炎が疑われる場合は診断のためにさらに詳しい検査を行います。腎炎以外の血尿の原因としては、家族性良性血尿、高カルシウム尿症、水腎症、尿路感染症、結石などがあります。しかし、いろいろ調べても原因のわからない血尿もあり、無症候性血尿、または微小血尿といいます。集団検尿で発見される血尿単独陽性例のうち、約85%がこれにあたり、悪化も進行もせず、数年の内に消失してしまう例も多くみられます。しかし、無症候性血尿の子どもを長期にわたり診ていると、ごく一部ですが、尿所見が悪化して最終的に腎炎と診断される例もあります。このため現在異常がなくても、医師の指示に従い定期的な尿検査を受けて下さい。
(板金康子)