たかがおねしょ? されどおねしょ?

 

子どもの夜尿症のお話

おねしょくらい放っていてもそのうち治るよ!

 確かに、おねしょは、何も治療しなくても、1年ごとに10~15%が自然に治るとされています。でも、「小学校入学なのにまだとれない」「小学校5~6年生になり林間や修学旅行などの宿泊行事があるのに毎晩夜尿をしている」「中学になってもまだ・・」と年齢が上がるにつれて深刻になり小児科を受診される方も少なくありません。

 一般に幼児期に夜間におもらしをすることを「おねしょ」といいますが、5~6歳を過ぎても月に数回以上おねしょをする場合、「夜尿症」として治療の対象になります。夜尿症は6歳時で10~20%、小学校高学年でも5%が夜尿をしていますが、適切な治療をすることで早期の治癒率は2~3倍高くなります。中には精神的に劣等感を感じている子もおり、早く治療してあげる事がその子の自信の回復にもつながります。一般に夜尿症には一晩の尿量が多いタイプ(多尿型)、膀胱が小さく夜尿をしてしまうタイプ(膀胱型)、夜間の尿量が多くて膀胱が小さいタイプ(混合型)の主に3つのタイプに分類されます。お子様の夜尿のタイプはどれなのかをまず知ることが治療の第一歩です。

 無理に夜中に起こさない、朝昼は十分に水分摂取し、夕方以降は水分を控える、早寝早起きなどの規則正しい生活、冷え性を伴っているならゆっくり入浴するなどの対策はどのタイプでも共通です。タイプ別には、膀胱型であれば、膀胱を大きくするためにおしっこを我慢(がまん訓練)させたり、膀胱機能を安定させる抗コリン剤というお薬を使い、多尿型であれば尿を濃縮させ尿量を少なくさせる抗利尿ホルモン剤の点鼻薬や飲み薬を使うこともあります。また、アラーム療法といってパンツやシーツに水分を感知するセンサーを取り付け、尿をもらしたときにセンサーアラームが鳴ったり振動を与えることで、排尿を抑え夜尿症の改善を図るおねしょ防止訓練補助器具(ちっちコールなど)も普及しつつあります。

 一部の治りにくい夜尿や昼間のおもらしがある場合には、膀胱や腎臓の生まれつきの奇形や二分脊椎という外科的な病気が潜んでいる事もあるため、いずれにしてもかかりつけ医に相談される事をお勧めします。

(竹中義人)

 

 泌尿器・生殖器   投稿日:2013/05/01