蕁麻疹(じんましん)
時間外の患者さんからの電話の内容で案外多いのが、蕁麻疹です。
蕁麻疹は体に何らかの原因が加わった時に放出されるヒスタミンの作用により、血管内の血漿成分が組織の中に漏れ出て赤く浮腫状(膨疹)となったものです。
子どもの場合、ほとんど一過性ないし、急性蕁麻疹で、1か月以上も続く慢性蕁麻疹はほとんどありません。しかし最近は、環境の悪化か、1~2か月位くりかえすケースが多くなっているように思います。蕁麻疹の原因はというとお母さんは食品や薬と思われることが多いのですが、現実には、不明の場合が多いようです。もちろん摂取した直後に腫れてきたといった場合は明らかです。いつもはどうもない食品でも病気、疲労が加わって蕁麻疹がでることもあります。診察室では、熱、咽頭痛など上気道炎に伴って蕁麻疹を見ることもしばしばですが、細菌による場合も多々あると思います。物理的刺激による蕁麻疹もしばしばみられます。プールや風呂から上がった時、寒いとき、外から室内へ入った時にでるのは、寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹と名づけられます。1~2か月位くりかえす慢性的な蕁麻疹の原因は分かりにくいのですが、なんらかのアレルゲンに気候の変化等が加わって続くのではないでしょうか。それに精神的ストレスも関係するようです。試験の前になると、かゆくなる。お母さんが「こんなのわからないの」と叱るとポツポツと赤くなるといったことも本当にあるのです。
又、違う話ですが、仮性アレルギーといってアレルギー反応ではないのですが、かゆみをおこす物質を大量に含む食品もあります。二通りあって、末梢性のかゆみを起こす物質を大量に含む食品(サバ、エビ、ホウレンソウ、トマト、イカ、タコ、タケノコ等)と、かゆみの原因であるヒスタミンを遊離する物質を多く含む食品(チョコレート、イチゴ、卵白、シイタケ等)です。
治療は急性の場合は抗ヒスタミン剤、慢性の場合は抗アレルギー剤の内服、呼吸が苦しい場合は救急受診して下さい。重症の場合はステロイドの内服、または点滴をします。
(門林和子)