頭ジラミ
最近、ふけが多くなったし頭も掻いているし、湿疹でも出来たのかなと思っていたら、学校や幼稚園や保育園の先生から「“頭ジラミ”の疑いがありますので診てもらって下さい」と言われてびっくりされた方も多いのではないでしょうか。
殆どのお母様方がシラミは不潔な環境にしか存在しないと思っていらっしゃることでしょう。ところが清潔指向の現在でも結構図太く生き続けているのです。そしてやっかいなことには一旦保育所や幼稚園などの集団の中で発生すると容易に蔓延してしまいます。そして慌てて医者に駆け込むことになります。
成虫は2~3mmくらいで蚊のように血を吸い、かゆみをおこします。成虫を見つけるのはなかなか難しいのですが、髪の毛に一見ふけに見える径0.5~1mm大の卵を産み付けるので、この卵があれば感染していると診断できます。ふけと違って毛にセメント物質で固着されているので簡単にはとれません。医師は顕微鏡検査でふけであるか虫卵であるか見分けてくれます。
頭ジラミと診断されたら、治療法としては、剃毛をする方法、殺虫剤を使う方法があります。しかし、剃毛法は特に女の子では現実的ではありませんよね。殺虫剤は蚊取り線香などに含まれるピレスロイド系のもので、頭ジラミの神経に作用します*。ヒトには無害です。虫卵が孵化するのに10日間ぐらいかかりますので3~4日毎に3~4回散布する必要があります。(この時使用する殺虫剤はスミスリンパウダー、スミスリンシャンプーといい一般市販薬です。説明書きをよく読んで使ってください。)
同時に虫卵や虫体は熱に弱いので、衣類を熱処理(アイロンや熱湯消毒)したり頭髪にヘヤードライヤーをかけたりする事もお勧めします。また、虫卵はハサミや目のつまった櫛で取り除いておく方が良いでしょう。ピンポン感染を防ぐためには、集団や家族内で一斉駆除する事が望ましいのは申すまでもありません。
*補遺:最近薬剤の効かない頭ジラミが話題になっていますが、頻度はそう多くないようです。きちっと殺虫剤を使って、それでも駆除できないときは医師に相談してください。
(井上喜久子)