川崎病
川崎病は1967年に川崎富作先生によって初めて報告された子どもの熱性疾患です。川崎博士はこの病気に「指趾の特異的落屑を伴う小児の急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」という長い名前をつけました。この病名の英語の略名をMCLSと言いますが、その後川崎先生の名前をとって川崎病と呼ばれています。
この病気のおもな症状は5日以上つづく高熱のほかに眼球結膜の充血、リンパ節腫脹、四肢末端の硬性浮腫、不定形発疹などです。そしてその特徴は・白目がピンク色・真っ赤な口紅をぬったような唇・いろんな形の発疹・首のリンパ節の腫れ・手足が腫れる(その様子は硬性浮種とよばれるように手足がテカテカ・パンパンに腫れあがり、あとで指の先から皮フがめくれる)などです。急性期のあいだは機嫌も悪く、他の病気にくらべてこのような症状は重篤です。
川崎病の原因はいろいろ研究されてきましたが、いまだに原因不明です。そのため確実な治療法もありませんが、アスピリンやガンマグロブリンを使うことによって症状も軽く、はやく治るようになりました。
この病気がとくにおそれられる理由に心臓合併症があります。つまり急性期に心臓の筋肉を養う栄養血管である冠状動脈が炎症によって侵され、血管がこぶのようにふくれたり(冠動脈瘤)そのほかいろいろな心臓の障害が起ります。時には冠状動脈が狭くなったり閉塞して心筋梗塞を起こし、突然死する事もあります。このことから一時は大きな社会問題にもなりました。このような心臓障害をおこすのはごく一部で、また解熱とともに心臓の障害もなおります。しかし後遺症としていつまでも心臓障害がつづくこともあり、この場合は大人になっても定期的に検査が必要です。
川崎病は原因・治療法などわからないことが多い病気です。かかりつけ医によく相談しましょう。またこの病気を発見された川崎富作先生が「川崎病研究センター」を設立して、全国の患者さんの相談を電話で受け付けておられることもお知らせしておきます。
(川崎病研究センター:電話03-5256-1121)
(小川 實)