起立性調節障害
朝起きにくく起きても頭痛や立ちくらみを訴える自律神経失調症の一種です。
自律神経は交感神経と副交感神経で構成され、長時間立っていても循環調節反射によって血液循環や血圧が一定に保たれるように維持されています。正常な人でも起立によって血液は下半身に滞留し血圧が低下しがちになりますが、交感神経の働きによって下半身の血管が収縮し、血圧が保たれるように調節されています。起立性調節障害(OD)では、この代償機構がうまく働かず血圧低下を起こすことにより脳血流や全身の血液循環が維持されなくなって、立ちくらみやふらつき、頭痛が引き起こされるのです。
最近の子どもは幼児期から余り体を動かすこともなくエアコン完備の快適な環境で過ごすなど、自律神経が鍛えられる機会が少ないことにも関係しているのでしょう。10~16歳の思春期に多く、小学生の約5%、中学生の約10%にみられるとの報告もあり、男子よりも女子に多発する傾向がみられます。症状は午前中に悪くなりやすく、春先から夏期に悪化する傾向があります。
朝起きにくい、思考力や判断力が落ちる、学校に遅刻、欠席しがちになることなどから、怠けや仮病と誤解されるケースも少なくなく、精神的ストレスの影響で悪化することもあるのでこの病気に対する周囲の人の理解が必要です。
診断は、起立血圧試験など体位を変えた時の血圧の変動や心電図の変化を参考に、時にはハイテク血圧測定装置を駆使して、一定の「診断基準」に沿って確定されます。
規則正しい睡眠と生活リズムの回復、心のサポートが求められ、薬物療法や専門医による心理療法が必要となる場合もあります。
(浜本芳彦)
その他
投稿日:2006/09/01