子どもの糖尿病
こどもには糖尿病はないのではと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。糖尿病は大きく2つのタイプ、1型と2型に分けられますが、どちらのタイプも見られます。ここでは、それぞれについて簡単に説明したいと思います。
1型糖尿病
こちらのタイプはもっぱら子どもの時期に発症してきます。インスリンを出す細胞が壊れてしまう自己免疫によって起こってきますので、生活習慣病とは全く関係がありません。いったん発病すると、インスリンが出なくなっていって、のどが渇く、痩せる、おしっこがたくさん出るなどの症状が出てきます。治療にはインスリン注射と自己血糖測定が欠かせません。最近では、持続的にインスリンを注入するインスリンポンプの普及に加えて連続的に血糖をモニターする装置なども利用可能になり、より良い血糖コントロールが可能になりました。
2型糖尿病
2型糖尿病は生活習慣病と言われるようにお腹の脂肪が気になる年齢で発症するものと思われがちですが、決してそうではありません。食が欧米化し運動の習慣がなくなってきていること、その結果として肥満が増えていることから、最近では2型糖尿病が急速に子どもの間に広がりつつあります。小学生の糖尿病は最近10倍に増えたと言われており、思春期年齢には2型のほうが1型糖尿病よりも多くなってきています。本来、中高年に出てくるべきものが若くして出てきてしまっているのです。特徴は、肥満の程度が強いことと全くといってよいほど自覚症状が無いことです。せっかく学校検尿などで発見されても放置され、知らないうちに合併症が進行して失明や腎不全にまで至ってしまうケースが後を絶ちません。ご家庭に糖尿病の方がおられたら、早い時期からご家族そろって、よい食習慣、運動の習慣を培って頂きたいと思います。糖尿病と診断されたら、たとえ症状がなくても必ず医療機関を受診して頂きたいものです。
(青野繁雄)