脱水症
お子さんがお熱を出したり、吐き下しをした時には、「脱水症」に注意することはご存知ですよね。
子どもが脱水症になりやすいのには理由があります。それは、体の水分量の割合が大人に比べて大きいこと(体重の60~70%)、水分が代謝されるスピードが早いこと、そして体の水分の量を調整する腎臓がまだ未熟なためです。
脱水症になると、おしっこの量が少なくなり、泣いても涙が出なくなります。皮膚の張り(緊張)がなくなり、目は落ちくぼみ、唇や舌が乾燥します。手足が冷たくなり呼吸が速くなります。うとうとと寝てばかりいたり、逆に興奮状態になったり、けいれんをおこす場合もあります。脱水症が原因で熱が続く場合もありますよ。体の冷却水不足が原因ですね。
脱水症の程度を見分けるには簡単な方法があります。それは体重を裸で計ること。短期間の体重減少は、その分量の水分が体から失われたことを意味します。例えば、普段の体重が10kgのお子さんが、嘔吐・下痢で体重9kgになったとします。体重1Kgの減少は体から約1リットルの水分が失われたことを意味します。
体重が10%減少しましたから、これは10%の脱水症(中等症の脱水症)ということになります。5%以上の脱水症ではすぐに病院に行くこと。脱水症の程度を見誤らないためにも、ふだんから正確な体重(裸で測定する事!)を記録しておきましょう。小児科受診や健診の時に測定してもらい、母子手帳にこまめに記録しておくのがいいですね。
「脱水症」は水が脱すると書きますが、本当は水と塩分(電解質)が体から失われることなのです。だから、治療には水分だけではなく、ナトリウムやクロール、カリウムといった電解質の補給も大切になります。脱水状態の時にナトリウムを含まない水やお茶だけを補給すると、薄い尿がたくさん出て、かえって脱水症がひどくなってしまうことがあることも知っておいて下さいね。
(卯西 元)